インボイス制度の概要と対策・準備
インボイス制度について、数回にわけてご説明させていただきます。
いつから?令和5年10月1日から
1、適格請求書(インボイス)=1「税率ごとに区分した消費税額」2「適格請求書発行事業者の登録番号(以下、登録番号)」などの記載があ る請求書等。*請求書に記載する項目が追加になります。
例)1 10%対象の消費税額◎◎円 8%対象の消費税△△円
2 株式会社 掛上商事 登録番号:T6011101066666 法人T+法人番号13桁 個人 T+数字13桁
2、インボイスの保存が仕入税額控除の新たな要件になります
*インボイスでない請求書では仕入税額控除が受けられなくなります
3、インボイスを発行するためには「適格請求書発行事業者」への登録が必要=消費税の申告・納付が必要になります
*インボイスを発行できるのは税務署に登録した「適格請求書発行事業者」に限ります
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「適格請求書発行事業者」への登録の流れ
「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出
提出方法:e−Taxまたは郵送
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税務署による審査
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税務署による登録
適格請求書発行事業者登録簿に氏名又は名称、登録番号等の登録を行う
登録の効力は登録簿に登録された日となり、令和5年10月1日より前に通知を受け取った場合でも
登録日は「令和5年10月1日」となる
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税務署による通知
税務務署長より、書面等で登録通知書が交付される
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税務署による登録内容の公表
インターネットを通じて国税庁のHPに公表
*登録申請から登録通知までの期間は、書面の場合は1か月、e-taxの場合は2週間程度が見込まれています
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適格請求書発行事業者の登録が完了した後の課題
登録が完了した後の課題については以下の事柄が考えられます。
あくまでも例ですので、会社によって課題は様々です。
登録が完了したら自社の今後の流れをシミュレーションし独自のリストを作成してみてください。
〇請求書等のフォームをインボイス仕様へ改修
〇会計ソフトをインボイス対応のものへ
〇社内でのインボイス研修
〇取引先への対応
など
どの課題も、事業者の皆さんにとっては手間と時間がかかる作業になるかもしれません。
制度の本格的実施まであと1年。安心して制度の導入時期を迎えられるよう、準備を始めてください。
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〇請求書等のフォームをインボイス仕様へ改修
請求書のフォームについては、既存の請求書に追記してインボイス仕様のものへと変えるのか、それともこれを機に請求書・管理システムを変更するのか、すでにシステムを導入している場合はインボイス対応のものへ変更がされるのかの確認をすることが考えられます。
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〇会計ソフトをインボイス対応のものへ
会計ソフトをすでに利用されている方はインボイス対応のものに変更する必要があります。
ソフトを利用しなくても帳簿については対応可能ですので、無理にソフトを購入する必要はありません。
今の帳簿をインボイス対応の帳簿へと改訂する必要があります。
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〇社内でのインボイス研修
インボイスは経理の問題だけではありません。
例えば新たな仕入れ先との取引において、その仕入れ先が適格請求書発行事業者なのかを事前に知っておくことは、会社の税負担、利益に大いにかかわってきます。
その取引を成立させる判断の大事な要素になると考えられますので、インボイスの知識を営業の方へも周知しておくことが必要になると考えられます。
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〇取引先への対応
貴社が本則課税の場合で、免税事業者から仕入を行っている場合、仕入税額控除をうけることができないことから、インボイス制度導入以前と同じ条件での取引では貴社の納税額が増えてしまいます。
インボイス発行事業者になるかどうかはあくまで事業者判断のため強制はできませんが、取引相手に対して@登録の有無の確認A適格請求書の様式や受領方法の認識共有など事前に確認することが必要です。
また取引先に対して自身の登録番号などを知らせることもスムーズな取引につながります。
(簡易課税の事業者については、売上にかかる消費税から納税額を計算するため、免税事業者である仕入先との交渉は必要ないと考えられます。)
上記の準備は順番ではありません。税務署への登録申請を行いながら同時並行で進められることをおすすめします。
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